2026年3月18日、日本発のアバター通話アプリ「POPOPO(ぽぽぽ)」がサービスを開始しました。ドワンゴ創業者・川上量生氏が全額出資し、2ちゃんねるの創始者:ひろゆき(西村博之)氏、エヴァンゲリオンシリーズでおなじみの庵野秀明氏、ミュージシャンGACKTという異色の取締役陣が名を連ねる本サービスは、リリース直後からIT・メディア業界を中心に大きな注目を集めています。
この記事では、このシンSNS「POPOPO」がどういうSNSなのかというのを解説していきます。
POPOPOの基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | POPOPO(ぽぽぽ) |
| ジャンル | カメラのいらないテレビ電話 |
| 運営会社 | POPOPO株式会社(東京都中央区) |
| 代表取締役 | 矢倉純之介 氏 |
| サービス開始 | 2026年3月18日(水)15時(ロンチ済) |
| 対応OS | iOS 18以上 / Android 13以降 |
| 料金 | 基本無料(一部有料アイテムあり) |
| 公式サイト | popopo.com |
POPOPOの機能詳細
正直、始まったばかりのSNSのため、どういった機能?そもそもどういうサービスなの?って方も多いかと思いますので、どういう内容のサービスなのかを紹介していきます。
顔出し不要のアバター通話(ホロスーツ)
最大の特徴は、カメラを一切使わず、音声データだけで通話が成立する点です。ユーザーは「ホロスーツ」と呼ばれるアバターに着替え、声の抑揚や笑い声に連動してアバターが自動で動いてくれます。サービス開始時点で400種類以上のホロスーツが用意されており、人間・動物・ロボット・寿司のネタなど、かなり多彩なバリエーションになっています。
アバターはファッション感覚で着替えるアイテムとして設計されていて、「自分の代替」ではなく「表現の道具」として機能する点がVTuberの概念とも少し異なります。
プロ映画監督監修の「自動カメラワーク」
通話の音声を解析して、映画的なカット割りをリアルタイムで自動生成してくれます。笑い声が検出されるとアバターが笑顔になり、沈黙が続くと遠景(ロングカット)に切り替わる仕組みです。
このカメラワークはAIではなく、テレビアニメ「ブラックジャック」なども担当していた映画監督・手塚眞氏がすべてのカットを人の手で監修しています。各シーンごとに200カット以上が用意されていて、サービス開始時の5シーン合計でほぼ劇場映画1本分のカット数が使われているそうです。
最大30人のグループ通話・コラボ生配信
最大30人での同時通話が可能で、さらに通話をそのまま不特定多数へのライブ配信に切り替えることができます。視聴者が画像を投稿して参加できる機能や、配信者が視聴者を抽選して1対1で直接通話できる機能も実装されていて、「番組を一緒に作る」体験が設計されています。
スーパーコール(一斉着信)
1回の配信につき1回だけ使える、フォロワー全員への一斉着信機能です。アーティストやインフルエンサーが「サプライズ登場」を演出できるツールとして設計されており、ファンとのエンゲージメントを高める核心機能として位置づけられています。
BGM機能
アソビシステム株式会社との提携により、新しい学校のリーダーズや、FRUITS ZIPPERといった同社所属アーティストの一部楽曲を通話中のBGMとして利用できます。
競合SNSとの比較
| サービス | 音声/映像 | アバター | 配信機能 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| POPOPO | 音声のみ(映像はアバター) | ✅ 400種類以上 | ✅ ライブ配信・コラボ配信 | エンタメ通話・コミュニティ |
| Clubhouse | 音声のみ | ❌ | ✅ ルーム配信 | トークディスカッション |
| X Spaces | 音声のみ | ❌ | ✅ | 公開トーク |
| Instagram Live | カメラ必須 | ❌ | ✅ | ビジュアル配信 |
| Discord | 音声・映像 | △(サードパーティ連携) | ✅ | コミュニティ運営 |
| VRChat | VRゴーグル推奨 | ✅ | △ | VR体験・交流 |
POPOPOが他サービスと根本的に異なるのは、「カメラ不要でありながら、映像コンテンツとして成立する」という設計思想にあります。音声SNSといえば、2021年頃に日本で爆発的に流行ったClubhouseが音声に徹したのに対し、POPOPOはアバターと映画的カメラワークによって視覚体験を提供しながらも、ユーザー側の負担(カメラ映え・背景・表情管理)を排除しているんですね。
ビジネス目線で抑えるポイント
① ファンコミュニティとの新しい接点
GACKT氏が言及していたように、既存SNSでは「フォロワーが多くてもファンクラブとしての価値が薄れている」という課題があります。POPOPOの「スーパーコール」や「視聴者との抽選通話」は、従来のファンクラブ特典をデジタルで再現・超越するポテンシャルを持っています。
アーティスト、ライバー、地方タレントとの契約・プロモーション展開を検討しているマーケターは要注目です。
② IPコラボによるコンテンツマーケティングの可能性
エヴァンゲリオン・東方Project・すとぷりとのホロスーツコラボが予告されています。これは単なる「グッズ展開のデジタル版」ではなく、ユーザーが自分のアバターにIPキャラクターを纏って通話するという体験設計です。ブランドやIPを持つ企業にとって、アバタービジネスはEC展開と同様の視点で捉えるべき新市場になり得ます。
③ 動画制作コストゼロで「番組体験」を提供できる
通常、生配信番組を制作しようとすると機材・スタジオ・編集コストが発生します。POPOPOは通話そのものが自動でドラマチックな映像体験に変換されるため、制作インフラなしにコンテンツが生まれます。スモールビジネスや個人クリエイターにとっても、低コストで「番組」を持てるのはかなり大きなメリットではないでしょうか。
④ 初期ユーザー獲得のタイミング
リリース記念として「1億円ひとりじめキャンペーン」(期間:2026年3月19日〜4月19日)が実施中です。1分以上の通話だけで応募できる設計は、試用のハードルを限りなく下げるための施策です。アーリーアダプター層の多いIT・Web業界の方は、今のうちにアカウントを確保してプラットフォームの動向を肌感覚で把握しておく価値は十分あると思います。
また会見の際にもひろゆき氏が「やらないともったいなくない?」みたいな発言もされていたのですが、1分通話するだけで1億円のチャンスがあるならやるべきです。
リスクと法的観点からの考察
匿名性がもたらすモデレーション課題
アバターによる匿名通話・生配信は、ユーザーの心理的ハードルを大幅に下げます。これは参加率を高める一方で、誹謗中傷・なりすまし・未成年者保護の面でのリスクも内包しています。最大30人のグループ通話という設計では、見知らぬ相手との接触機会が増えることになります。
運営側の対応として確認しておきたい点:
- 通報・ブロック機能の実装状況
- 未成年者向けの利用制限(年齢確認の有無)
- モデレーターの配置体制
まだリリース当初なのでPOPOPO側も手探りだろうと思いますが、そのうち、整っていくのでしょうかね。
プラットフォームリスク(依存度管理)
国産SNSとはいえ、サービス初期にはUI変更・機能制限・突然の規約変更が頻繁に起こり得ます。ビジネス活用を本格化させる前に、アカウント停止・機能廃止のシナリオも想定したリスクヘッジが必要です。特定プラットフォームへの過度な依存は、過去のClubhouse・TikTok規制問題が示す通り、事業継続リスクに直結しますので注意が必要です。
収益化ルールの未確定部分
現時点でPOPOPOのクリエイター向け収益化スキームは「プレミアムユーザー制度」と「ホロスーツ販売」が主軸として発表されていますが、配信者へのマネタイズ分配(投げ銭・広告収益)の詳細はまだ明らかになっていません。ビジネス活用を前提とする場合は、収益化ポリシーの詳細が公開されてから本格投資を判断するのが賢明です。
外部アバター・著作権まわりの注意点
公式ヘルプページによると、POPOPO外で作成した3Dアバターの持ち込みは現時点では使用不可です。今後、新設予定のサブスクリプションプランの特典として実装予定とのことですが、提供時期・内容は開発状況により変更される可能性があるとも明記されています。
VRChatやVRoid Studioなどで自作したアバターの活用を想定している方は、公式アプリ内のお知らせを継続的に確認する必要があります。「使えると思っていたのに使えなかった」というケースが起きやすいタイミングでもあるので、ビジネス用途で本格活用を検討している場合は特に注意が必要です。
また、公式コラボ外のIPキャラクターを模したデザインのアバターを作成・使用することは著作権侵害に該当し得ます。スーパーコールで著名人コンテンツを無断で二次利用・切り抜き配信するようなケースでも、肖像権・著作隣接権上の問題が生じる可能性があります。まだサービス開始直後でガイドラインの整備もこれからという段階なので、グレーゾーンには慎重に対応していきたいところです。
ただ、ビジネスという観点でいうと、このPOPOPOに特化したサービスで、POPOPOが爆発的に伸びたら「アバターを作りますよ!」みたいなビジネスもできそうですけどね。
なぜ今このサービスなのか?
川上量生氏が自腹で数十億円を投じると報じられた本プロジェクトには、ニコニコ動画を生み出した経験が色濃く反映されています。ニコニコ動画が「コメントで視聴者が映像に参加する」体験を作ったように、POPOPOは「音声で誰もが映画的な映像体験に参加できる」仕組みを目指しているんです。
注目すべきは、今回の制作陣の非AI志向です。カメラワーク監修には人間の映画監督、UI/UX設計には深津貴之氏(THE GUILD)、シーン設計にはANNA SUI Japanの加藤圭氏と、AIではなく人間の職人性を前面に打ち出しています。これは「AI時代を前に人間が作る最後のSNS」という公式コンセプトとも一致していて、ある種の時代へのカウンターとして読み取ることもできます。
まとめ
POPOPOは単なる「アバター版Clubhouse」ではなく、エンタメ・コミュニティ・IPビジネスを一つのプラットフォームで完結させようとする野心的な設計を持っています。特にファン経済・ライブコマース・インフルエンサーマーケティングの文脈では、今後の展開は無視できないと感じています。
ただし、現段階では以下の3点がサービスの成否を左右する試金石になるでしょう。
- ユーザー数の定着率(キャンペーン後に残るか)
- モデレーション体制の整備(特に未成年保護)
- クリエイター向け収益化スキームの透明性
IT・Web業界の観点からは、今すぐ深く参入するよりも、アーリーアダプターとしてプラットフォームの動向を観察しながら、自社のターゲット層に有効かどうか見極めるフェーズとして捉えるのが、現時点での現実的な判断ではないかと思います。